AIエージェントワークフロー設計
AIエージェントを「便利な補助ツール」から「業務プロセスの一部」へ移行させるための設計手法。まつにぃ(2026-05-20) の Design Note シリーズで体系化された。
核心テーゼ
AI導入ではなく、業務設計が成果を決める。
AIの性能そのものより、「業務をAIが処理できる単位に分解し、参照すべき情報・判断基準・確認条件・評価方法を設計すること」が難しく、かつ重要。
1. タスク分解の原則
大きな指示を小さな処理単位に分解しないまま AI に任せると、参照根拠も分類理由も確認タイミングも分からず、業務で継続的に使えなくなる。
6処理分解モデル(タスク整理の例)
| # | 処理 | 内容 |
|---|---|---|
| 01 | 抽出 | 担当者として明示された依頼事項を抽出 |
| 02 | 分類 | 返信必要 / 期限あり / 確認のみ に分類 |
| 03 | 登録 | Inbox に登録、即時実行 vs 前提整理に分岐 |
| 04 | 判定 | 別エージェントが実行条件を確認 |
| 05 | 下書き | 返信下書き / 日程候補 / 仮予定登録 |
| 06 | 通知 | 処理完了後に Slack / Notion へ通知 |
即時実行 vs バックログ
- 即時実行: 実行条件が揃ったもの(返信下書き・日程候補・資料確認・軽微修正)
- 前提整理が必要: 関係者調整・前提情報不足・仕様未確定のもの → タグ付きバックログへ
2. スキル設計の7要素
スキルとは単なるプロンプトではなく、業務上の判断を AI が処理できる形に明文化したもの。
| # | 要素 | 問い |
|---|---|---|
| 01 | 参照 | どの情報を参照するのか |
| 02 | 信頼 | どの情報を信頼してよいのか |
| 03 | 仮説 | どの情報は仮説として扱うのか |
| 04 | 自動 | どの条件なら自動処理してよいのか |
| 05 | 確認 | どの条件なら人間の確認が必要か |
| 06 | 成果 | どの形式で成果物を作成するのか |
| 07 | 評価 | 作成後に何を基準に評価するか |
3. スキルの作り方(鉄板パターン)
まず一緒にやって、Skillにする。Skillはいきなり書かない。
- 並走する — 自分が手を動かしながら、エージェントに横でやらせる。判断ポイントや参照先をその場で見せる
- 型を抜き出す — 一度回し終えたら、何を見て / どう判断したかを言語化。会話履歴がそのまま素材になる
- Skillに固定 — 「じゃあこれをSkillにして」で型を固定
このパターンは Claude Code Skills の作成においても有効な発想と共通している。
4. 情報の状態管理
確定情報 vs 未確定情報
| 種別 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| 確定情報 | 売上実績・契約情報・請求金額・納期 | 事実として参照 |
| 未確定情報 | 営業所感・検討中の提案・未承認施策案 | 仮説として扱う |
AIの実務品質は、社内情報の整理と判断基準の明文化で決まる。
ドキュメントメタデータの8要素
状態(確定/仮説/ドラフト/承認済)/ 時点 / 作成者 / 承認者 / プロジェクト / 使用工程 / 公開範囲 / 有効期限
5. ツールルーティング(4種の使い分け)
探索・検証 → Copilot CoWork
フロー設計 → Copilot Studio
固定処理 → Power Automate
判定・形式確認 → Script / Rule
詳細は Copilot Studio を参照。
6. 運用改善(評価・ログ・コスト)
評価の6観点
- 正しい情報を根拠にしているか
- 古い / 未承認の情報を参照していないか
- 担当者と期限を正しく抽出できているか
- 承認が必要な処理を自動実行していないか
- そのまま確認できる品質になっているか
- コストが削減時間や成果に見合うか
モデルコストの階層化
- 高負荷な判断・文章生成 → 上位モデル
- 定型処理・形式チェック → 軽量モデル
- Skill単位でモデルを指定できるよう設計する
Hooks による自動検証
Claude Code Hooks のような仕組みで、AI処理完了タイミングにログ記録・形式チェック・追加検証を自動実行する。プロンプト挿入時に「該当するSkillがあれば、それで実行してね」を自動挿入 すると Skill 実行率が向上する。
HITL(Human-in-the-Loop)の原則
不可逆な操作(メール送信・Teams投稿など)の手前で必ず停止し、リスクレベルを提示して人間の承認を求める。このパターンを Copilot Studio では実行フローに組み込める。
関連ページ
- なんでもCopilot_Copilot Cowork(本概念の主要ソース、まつにぃ)
- Microsoft 365 Copilot
- Copilot Studio
- Claude Code Skills(スキル設計の関連概念)
- Claude Code Hooks(Hooks 概念の参照元)
- 生成AI活用(企業・ビジネス)
- 業務フロー設計