予防医療と早期介入
病気の重症化・合併症発症を未然に防ぐ「上流介入」の考え方。**投資型医療**の核心的な実践手段。武内和久・山本雄士が「治療から予防への転換」として強調。
なぜ予防・早期介入が重要か
慢性疾患(糖尿病・高血圧・骨粗鬆症等)の実態:
糖尿病の実態(放置率が高い)
- 糖尿病患者 + 予備群:約2,050万人
- 実際の糖尿病患者:約450万人
- 治療中:317万人
- 血糖コントロールできている:約110万人(患者全体の 1/4)
- 未受診(放置):約130万人
- 予備群(将来患者化リスク):約1,600万人
「要治療」通知を受けても放置している人は 全体の4割
高血圧の「半分の半分の半分の法則」
- 治療を受けているのは全患者の 1/2
- 外来で血圧良好:全体の 1/4
- 家庭でも外来でも良好:全体の 1/8
骨粗鬆症の問題
- 治療を受けているのは患者全体の 10〜20% のみ
- 1,000万人の患者が放置状態
- 骨折患者の半数が歩行能力低下、5人に1人が寝たきりに
- 骨粗鬆症性骨折に要する医療費・介護費:年間7,974〜9,895億円(2005年推計)
放置が起きる理由
- 健診結果の意味が分からない(リテラシー不足)
- 気軽に相談できる場所・人がいない
- ことの重大性に気づかず精密検査を先送り
- 会社の健康管理部門との連携が不十分
投資型医療における早期介入の設計
- 健康診断結果に基づく 自動的な精密検査予約(会社の健康管理部門が介入)
- 上司からの受診指示(業務の一部として健康管理を位置づけ)
- 事前アンケートに基づく 個人化されたプログラム(低カロリーメニュー・エクササイズ)
- チームメンバー・家族を巻き込んだ継続支援
機会費用の視点
直接の医療費・介護費だけでなく見えない「機会費用」も重要:
- 歩行能力喪失による生活の質低下
- 生産的活動(地域貢献・孫の世話など)への支障
- 家族の介護負担による就労時間短縮・就労断念