投資型医療 医療費で国がつぶれる前に
著者: 武内和久 / 山本雄士 形式: Kindle 書籍 ASIN: B075L5WQGX ハイライト数: 24件
概要
日本の医療費財政が構造的に破綻へ向かっていることを統計データで示し、「消費型医療」から「投資型医療」へのパラダイムシフトを提唱する書籍。医療費増大の根本原因(超高齢化・世代間格差・治療効率の低さ)を分析し、予防・早期介入・行動変容支援による「医療費を削減できる医療」への転換を訴える。
主要な数字・データ
医療費の現状(2015年時点)
- 2015年度の国民医療費(推計)は 42.3兆円。日本の国家予算の 44% に相当
- 保険料は2009年以降 20%以上 値上げされている
- 医療費の財源内訳:税金38% + 保険料49% = 国民負担87%(「国が払っている」わけではなく国民が払っている)
- 保険者(健保・国保)は約 3,000 存在し、それぞれ独自の保険料設定
超高齢化社会の進行
| 年 | 総人口 | 65歳以上 | 現役世代:高齢者 |
|---|---|---|---|
| 2015年 | 1億2.7千万人 | 3,387万人 | 2.3:1 |
| 2040年 | 1億1千万人 | 3,921万人 | 1.5:1 |
| 2050年 | 約1億人 | 3,840万人 | 1.37:1 |
- 2050年には国民の 2.7人に1人が65歳以上になる見込み
- 保険料率試算(現状維持なら):約 26%。年収600万円なら年間156万円、1,000万円なら260万円
世代間格差
- 2005年時点で、60歳以上と将来世代の生涯純受益格差は 1億2,000万円 に達する
疾患管理の問題(未治療・コントロール不良)
糖尿病:
- 患者・予備群合計:約2,050万人
- 実際の糖尿病患者:約450万人
- 治療中:317万人
- 血糖コントロールできている:約110万人(全患者の1/4のみ)
- 未受診:約130万人
- 「要治療」通知を無視している人:全体の 4割
高血圧(「半分の半分の半分の法則」):
- 治療を受けているのは全患者の1/2
- 外来で血圧良好なのはその1/2(全体の1/4)
- 家庭でも外来でも良好なのはその1/2(全体の 1/8)
骨粗鬆症:
- 治療を受けているのは患者全体の 10〜20% のみ
- 1,000万人の患者が放置されている
- 骨折患者の半数が歩行能力低下、5人に1人が寝たきりに
- 骨粗鬆症性骨折に要する医療費・介護費:年間 7,974〜9,895億円(2005年推計)
キーコンセプト:投資型医療とは
投資型医療は「治療(消費)」中心の現在の医療から、予防・早期発見・行動変容支援に重点を移し、将来の医療費増大を抑制する「医療への先行投資」概念。
- 進化した医療技術を上手に活用すれば、はるかに安く・簡単に病気を治す・防ぐことができる
- 現役時代に健康をケアできなかった高齢者が、リタイア後に医療費を押し上げるという構造的問題を解消することを目指す
医療の5プレイヤー構造
| プレイヤー | 役割 |
|---|---|
| 受益者 | 患者・将来の患者(誰しも例外なく該当) |
| 支払者(保険者) | 健保・国保など。日本は約3,000の保険者 |
| 提供者 | 医師・医療専門職・医療機関 |
| 開発者 | 医療機器・薬の研究開発者 |
| 政府 | ルール設定・調整(政治家・中央省庁・自治体) |
保険制度の歪み
- 高齢者医療制度では、保険者が集めた保険料の半分以上を自分の加入者以外の医療費に拠出しているケースもある
- 「国が負担している」と見えても、財源は国民の税金(38%)+保険料(49%)