ガバメントAI、プロジェクト「源内」の構想紹介(デジタル庁)
デジタル庁の大杉直也(AI担当)が、ガバメントAIの中核プロジェクト「プロジェクト源内」の構想・技術詳細・展望を解説したnote記事(2025年11月11日公開)。
概要
「100回の会議より、1回のAPI callの方が理解が進みます」という思想のもと、行政領域での生成AI実活用の壁を突破するために内製開発された基盤システム「源内」の全貌を紹介している。
この2年間で得られた知見(2023〜2025年)
| 知見 | 内容 |
|---|---|
| 業務特化型AI開発の必要性 | 汎用型だけでなく、行政固有情報検索・業務特化型生成AI開発も必要 |
| ボトルネックはプロトタイプ以降 | ニーズヒアリング〜プロトタイプ作成は容易。「動く状態のプロトタイプを職員に届ける」移行が課題 |
| セキュリティ環境の重要性 | 職員が安心・安全に使えること、要機密情報を扱えることが最重要 |
ガバメントAI推進に対する課題の4段階仮説
| 段階 | 課題内容 |
|---|---|
| 段階1 | 他組織の成功事例を知らない |
| 段階2 | 他組織の導入効果が不明瞭でコスト投資の価値を見出せない |
| 段階3 | 同様の生成AIアプリケーションの導入方法がわからない |
| 段階4 | 導入方法はわかっても実現コストが高い(既存サービス利用時は特に) |
プロジェクト源内が解決しようとする3点
- 生成AIアプリケーションの**「記述(ドキュメント)」の共通化**
- AIエージェントの概要・機能・具体的効果・必要データ・セキュリティ懸念・運用費用・導入留意点
- ヒューマンインターフェースと生成AIアプリ間の**「約束(プロトコル)」の共通化**
- 通信プロトコル・入出力形式・認証認可・非同期処理・UI類型など
- 生成AIアプリケーションの**「代表的な実装パターン」の共通化**
- 複数ファイル入出力・非同期大量処理・マニュアル参照・AI自律再実行など
技術構成
- ベース: Amazon Web Services の GenU(Generative AI Use Cases)をベースにした改変版
- 追加開発①: マイクロサービスとして構築した生成AIアプリケーションの追加・実行機能
- 追加開発②: チーム機能(AIアプリの認可管理)
- クラウド: AWS に加えて Google Cloud の Gemini を用いたアプリも実行可能
- 実行方式: 同期処理・非同期処理(ポーリング型)両対応
API通信仕様(概要)
- リクエスト:
inputsキーでラップしたJSON形式 - 同期レスポンス:
{ "outputs": "..." }形式 - 非同期レスポンス:
request_id+status_url付き202 Accepted → PENDING/IN_PROGRESS/COMPLETED/ERROR
展開状況
- 2025年5月: デジタル庁全職員向けに展開開始
- 2025年8月: 開始3か月経過時点の利用実績を公開
- 2025年度末: 希望する他省庁職員への展開を視野
今後の展望
- 技術検証結果の公開
- 多種多様なステークホルダーとの協議・共通ルール化
- ソフトウェアの商用利用可能なライセンスでの公開を検討中
- 民間からのボランティア参加を募集
- アクセシビリティを意識した実装の公開