インスリンと体脂肪
インスリンは血糖値を下げるホルモンとして広く知られるが、体脂肪の合成と分解の両方に深く関与している。糖質制限ダイエットの科学的根拠の中核。
インスリンが体脂肪を増やす2つの経路
1. LPL の活性化(体脂肪合成を促進)
糖質過多でインスリンが分泌される → LPL(リポタンパクリパーゼ) を活性化 → カイロミクロン中の中性脂肪を分解して脂肪細胞に取り込ませる → 体脂肪合成を助ける
2. HSL の抑制(体脂肪分解を阻害)
インスリンは HSL(ホルモン感受性リパーゼ) の活性を低下させる → 脂肪細胞内の中性脂肪が分解されなくなる → 体脂肪が燃えなくなる
グルカゴンとの対比
インスリンと逆の働きをするのがグルカゴン(摂取カロリーが少なく血糖値が下がると分泌):
| ホルモン | LPL への作用 | HSL への作用 | 結果 |
|---|---|---|---|
| インスリン | 活性化(↑) | 抑制(↓) | 体脂肪増加 |
| グルカゴン | — | 活性化(↑) | 体脂肪減少 |
糖質制限ダイエットの仕組み
- 糖質を制限 → インスリン分泌減少
- グルカゴン分泌増加 → HSL 活性化 → 体脂肪分解・燃焼促進
- 解糖系が抑制 → グリセロール3リン酸の生成減少 → 体脂肪合成が低下
実践的含意
- 朝・昼は糖質を控えてインスリンの分泌を抑える
- 運動は HSL を活性化するアドレナリン・ノルアドレナリンを分泌させるため、脂肪燃焼に効果的
- 炭水化物の摂り過ぎは「LPL 活性化(合成↑)+ HSL 抑制(分解↓)」のダブルで体脂肪増加を招く
関連概念
参照ソース
- 脂肪酸とケトン体 ~糖質制限ダイエットの科学 — 山本義徳(山本義徳 業績集 4)