脂質代謝(脂肪酸・ケトン体)

体内での脂肪の消化・吸収・貯蔵・分解・燃焼のメカニズム全体。糖質制限ダイエットの科学的基盤。

脂肪の消化と吸収

  1. 食事中の脂肪 → 膵臓のリパーゼが腸で分解 → 脂肪酸 + グリセロール
  2. 小腸の細胞から吸収 → 再合成 + タンパク質結合 → カイロミクロン(大型複合体)形成
  3. カイロミクロンが筋肉に到達 → 酸化・エネルギー化
  4. カイロミクロンが脂肪細胞に到達 → 中性脂肪として貯蔵

体脂肪の合成(LPL 経路)

カイロミクロン
    ↓ LPL(リポタンパクリパーゼ)が分解
脂肪酸 + グリセロール → アシルCoA
                            +
                    グリセロール3リン酸(解糖系産物)
                            ↓
                        中性脂肪(体脂肪)合成

重要なポイント

  • インスリンは LPL を活性化 → 糖質過多はアシルCoA + グリセロール3リン酸の供給を増やし体脂肪合成を促進
  • ブドウ糖が多い状態 → 解糖系活性化 → グリセロール3リン酸大量生成 → 脂肪合成加速

体脂肪の分解(HSL 経路)

体脂肪(中性脂肪)
    ↓ HSL(ホルモン感受性リパーゼ)
脂肪酸(血中へ放出) + グリセロール
    ↓
エネルギーとして燃焼 → 体脂肪減少

HSL を活性化するホルモン

  • アドレナリン・ノルアドレナリン(運動時に分泌)
  • 成長ホルモン
  • 甲状腺ホルモン
  • グルカゴン(血糖低下時に分泌)

HSL を抑制するホルモン

  • インスリン(炭水化物過多で分泌 → 脂肪分解を阻害)

グルカゴンの役割

血糖値が下がると分泌されるホルモン:

  1. 肝臓のグリコーゲンを分解して血糖を上昇
  2. 糖新生を促進
  3. HSL を活性化 → 脂肪酸を血中に放出してエネルギー産生

インスリンとグルカゴンは体脂肪の合成・分解のスイッチとして対立的に機能する。

脂肪の分類

分類特徴
飽和脂肪酸パルミチン酸・ステアリン酸常温で固体、動物性脂肪に多い
一価不飽和脂肪酸オレイン酸(オリーブオイル70%以上)酸化安定性高い
多価不飽和脂肪酸(ω-3)EPA・DHA健康効果、魚油に多い
多価不飽和脂肪酸(ω-6)アラキドン酸悪玉エイコサノイド生成の素材
中鎖脂肪酸(MCT)カプリル酸・カプリン酸長鎖より4倍速く酸化、ケトン体10倍生成

ケトン体生成

糖質が極度に制限されると、肝臓が脂肪酸からケトン体(アセト酢酸・βヒドロキシ酪酸・アセトン)を生成する。ケトン体は脳・心臓・筋肉のエネルギー源として機能する(ケトーシス状態)。

MCT は長鎖脂肪酸と比べてケトン体生成量が10倍多い。

体脂肪のカロリー

  • 純粋な脂肪:9 kcal/g
  • 体脂肪:水分等を含むため 7.2 kcal/g(ダイエット計算では体脂肪換算を使う)

関連概念

参照ソース