中途入社や部署異動で来た新メンバーを活躍しづらくするアンチパターン

Qiita 掲載(2023 Advent Calendar)。著者・kojimadev が、中途入社・部署異動で来た新メンバーをチームが意図せず活躍しづらくしてしまう 8 つのアンチパターンと、その対策を解説した記事。1,525 いいね。ソフトウェア開発チームのマネージャー・テックリードを主な読者に想定。

背景:新メンバー適応の困難さ

甲南大学 経営学部 尾形 真実哉 教授の研究によると、中途入社者が組織適応するための 6 つの課題がある。

  1. スキルや知識の習得
  2. 暗黙のルールの理解
  3. アンラーニング
  4. 中途意識の排除
  5. 信頼関係の構築
  6. 社内における人的ネットワークの構築

このうち「信頼関係の構築」と「人的ネットワークの構築」は新メンバー単独では解決が困難であり、受け入れ側チームの意識的な対応が必要になる。

成果を出すためにも、ゆっくりと時間をかけて信頼関係と人的ネットワークを築きたい。しかし、その時間的余裕がない。この極めて窮屈な状態が中途入社者のパフォーマンスにネガティブな影響を与えているのです。

この「因果関係のねじれ」(成果を出すためにネットワークが必要だが、ネットワーク構築には成果が前提)が中途入社者特有のジレンマを生む。

8 つのアンチパターンと対策

詳細は 新メンバーオンボーディング・アンチパターン(8つ) を参照。

① お手並み拝見してしまう

中途・異動の新メンバーには「それなりにできる人材のはず」という思い込みから、チームに馴染むためのサポートが行われない現象。結果、優秀な人材が暗黙知をつかめないまま辞めてしまう。

対策: 新卒社員と同様か、それ以上に手取り足取りサポートする体制を作る。

② 自分のやり方で自由にやってください

実力があると思われる新メンバーに裁量を与えすぎるパターン。新メンバーはまず「チームのやり方」を知りたいと考えており、「自由にやって → 後出しダメ出し」のパターンが特に有害。

対策: 最初はチームのやり方を伝える。改善提案は現状を理解した後に求める。

③ 即戦力として取り扱う

「即戦力のはず」という周囲の認知が十分なサポートを阻み、新メンバーへの強いプレッシャーにもなる。

対策: 最初はチームでサポートする姿勢を明示する。

④ 十分な教育期間がない

ドメイン知識・開発プロセス・インセプションデッキの説明なしに開発に入ることで、全体像がつかめないまま仕事が進む。

対策: 必要な教育カリキュラムを最初に提示し、新メンバーと合意した上で期間を決める。

⑤ ペアプロ・モブプロを一切やらない

最初からソロ作業をさせると、チームの暗黙知を学ぶ機会と相互理解が失われ、孤独感も生まれる。

対策: 最初の期間はペアプログラミング・モブプログラミング中心で進める(コーディングに限らず仕様書・設計書作成も含む)。

⑥ チームメンバーとの会話が少ない

ソロ作業と朝会だけでは暗黙知・メンバーの人となりの理解が進まない。

対策: メンター制度に加え、色々なメンバーとペアプロ・モブプロを行い多様な会話機会を作る。

⑦ チームの貢献になっていることを実感させない

貢献実感がないと不安が解消されず、パフォーマンスに悪影響が出る。

対策: 日々のポジティブフィードバックで貢献を言語化して伝える。

⑧ 最初から難しいタスクを任せる

最初のタスクが失敗すると「自分の実力では貢献できない」という認識が生まれるリスクがある。

対策: 最初は難易度が低く、貢献実感を得やすいタスクを割り当てる。

著者の反省

著者は 10 年前(記事執筆当時)にこれらのアンチパターンを「やりまくっていた」と自己開示。「新卒じゃないから丁寧に教えなくていい」「分からなければ自分で聞くのが当然」という思い込みがアンチパターンの根本にあると指摘する。

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