カーボアップ(グリコーゲンローディング)
競技・ステージ直前に筋グリコーゲンを最大量まで蓄積させることで、持久力・筋肉の張り・パフォーマンスを最大化する栄養戦略。ボディビルダー・マラソン選手・格闘技選手など幅広いアスリートが実践する。
主要プロトコル
1. Sherman/Costill法(1983年)— 標準推奨プロトコル
概要: 1週間かけてテーパリング(運動量削減)と糖質量変化を組み合わせる。Ahlborg法(1967年)より負担が少なく同等の効果を達成。
運動プログラム(テーパリング):
- 運動強度: 70〜75% VO2max に固定(強度は変えない)
- 1日目: 90分
- 2〜3日目: 40分
- 4〜5日目: 20分
栄養プログラム:
| 期間 | 炭水化物比率 | 量(体重1kgあたり) | 体重70kgの例 |
|---|---|---|---|
| 前半3日(低糖質期) | 摂取カロリーの50% | 約3.97g | 278g/日 |
| 後半3〜4日(カーボアップ期) | 摂取カロリーの70% | 約9.92g | 694g/日 |
2. 西オーストラリア大学法(2002年)— 超短期プロトコル
概要: 超高強度運動 + 24時間のカーボ摂取でSherman/Costill法と同等のグリコーゲン蓄積を達成。時間がない場合に有効。
手順:
- VO2maxの130%の強度で150秒間の自転車漕ぎ
- 引き続き全力で30秒間漕ぐ
- 24時間にわたって除脂肪体重1kgあたり12gの炭水化物を高GI食品で摂取
理論的根拠: 超高強度の短時間運動が速筋・遅筋の両方においてグリコーゲン合成酵素を最大活性化させる。
Sherman/Costill法の最適化ポイント
- 低糖質期間: 青魚・サーロインステーキなど食物から脂肪をしっかり摂取
- カーボアップ1〜2日目: 高GI食品優先(グリコーゲン合成酵素が活発な時期)
- 推奨食品: ブドウ糖・マルトデキストリン溶液・シリアル・ジャガイモ・白米・餅・うどん
- カーボアップ3〜4日目: 中GI食品に切り替え
- 推奨食品: パスタ・ソバ・全粒粉パン・サツマイモ
- 理由: このタイミングで高GIを続けると余剰炭水化物が体脂肪に変換される可能性がある
- 小分け摂取: 一度に大量摂取せず、100g(糖質量)を7回に分ける
- タンパク質・脂質は少なめに(脂っこいものは控える)
- 毎食後にクエン酸1〜2gを摂取
主要概念の補足
GI値(グリセミックインデックス)
血糖値の上昇速度を示す指標。カーボアップ初期は高GI食品で素早くグリコーゲンを補充し、後期は中GI食品で過剰な体脂肪変換を防ぐ。
マルトデキストリンとクラスター・デキストリン
- マルトデキストリン: トレーニング中ドリンクの糖質濃度は6%が目安(70kgで水1Lに40g)。胃もたれが少ない
- クラスター・デキストリン: 10%程度でも大丈夫(70kgで水1Lに70g)。浸透圧が低く吸収が速い
関連概念
ソース
- 炭水化物のすべて(山本義徳) — location 1402〜1459