PACE(航空安全プロトコル)
航空業界で開発された、権威勾配(上司と部下の力関係)があるチームでも安全にコミュニケーションが取れるようにするための4段階エスカレーション手順。
4段階
| ステップ | 頭文字 | 意味 | 実行者 |
|---|---|---|---|
| 1 | P — Probe | 確認・探求(「〇〇でよかったでしたっけ?」) | 部下 |
| 2 | A — Alert | 注意喚起(「〇〇は問題ではないですか?」) | 部下 |
| 3 | C — Challenge | 挑戦・直接異議(「〇〇は間違っていると思います」) | 部下 |
| 4 | E — Emergency | 緊急事態宣言・操作介入 | 部下→全員 |
背景と目的
航空事故の多くは「機長(権威者)が誤判断しているのに副操縦士が指摘できない」という権威勾配による沈黙が原因だった。
PACEは:
- 部下が段階的に発言できる心理的な梯子を提供する
- 機長(権威者)側も「部下の主張に耳を傾け、明確な指示を出す技術」を磨く
- 時間感覚の喪失など特定の問題には「責任の分担をシステムに組み込む」
組織設計への示唆
- 単なるコミュニケーションスキル研修ではなく、システムとして権限分担を設計することが重要
- 権威者(リーダー)側のトレーニングが不可欠:「聞く姿勢」+「明確に指示を返す能力」
- 心理的安全性 の制度的な実装手段
関連概念
- クローズド・ループとオープン・ループ(失敗学) — PACEが機能するとオープン・ループが実現する
- 心理的安全性 — PACEの前提となる組織文化
- 組織開発 — PACE導入は組織開発介入の一形態
出典
- マシュー・サイド-失敗の科学 location 535