Gemini と NotebookLM を組み合わせて目標設定の負荷を軽減する方法

田部井勝彦(てぃーびー / クラスメソッド 組織開発室 室長)が 2025-10-22 の Google Cloud ウェビナー「AIエージェントってなに?を解決する、やさしいビジネス活用と業務効率化事例」で発表した SpeakerDeck スライド。Gemini の Gem 機能と NotebookLM を組み合わせた目標設定支援ツールを、2025年7月に社内導入した事例を詳述する。

発表の主旨

AIは「業務改善のフロンティア」を切り開く手段として活用できる。特に「多様な課題を抱える非定型業務」が AI との相性が良く、従来は年単位かかっていた解決が短期で実現できる。

目標設定が抱える課題

目標設定は非定型業務の典型で、複数の問題点が混在する:

  • 目標の書き方・難易度のばらつき(個人スキルに依存)
  • 事業・評価制度との整合性が不明確
  • マネージャーの目標設定支援の負荷が高い
  • 従来の解決策(研修・ワークショップ等)は年単位の時間がかかる

「AIで手動と自動の業務改善の間を埋める」ことが今回のアプローチ

目標設定支援ツールの全体像

2つのGoogle製AIツールを組み合わせて構成:

ツール役割
Gemini Gemステップバイステップのヒアリング → 本人情報の整理・出力
NotebookLM全社方針・評価制度・部門方針を情報源として目標素案を生成・レビュー

情報源の3レイヤー

  1. 本人の情報(Gemini Gem でヒアリング): スキル・キャリアステップ・強み
  2. 全社・評価制度の情報(NotebookLM のソースに設定): 人事評価制度PDF等
  3. 部門の情報(部門別 NotebookLM に設定): 部門方針・課題・OKR等

Gemini Gem の特徴と工夫

  • ステップバイステップの質問フローを Gem に設定 → 利用者は「Geminiの問いに答えるだけ」
  • 次のキャリアステップをAIが動的に出力(入力値に応じたキャリアプランの選択肢を提示)
  • 社員全体の Google Group に共有 → 社員の増減に対して権限設定のメンテナンス不要

NotebookLM の特徴と工夫

  • ソースファイルに制御用プロンプトを設定(公式利用法外だが実用上のプラクティスとして確立)
  • Google ドキュメントの同期機能で最新情報を手軽に反映
  • 部門別 NotebookLM を計17部門分整備(検証5部門+全社12部門)

出力例(OKR・グレード目標)

ある社員の出力例として提示されたサンプル(データエンジニアリング専門職・G3→G4 スペシャリスト昇格目標):

OKR 例

Objective: 生成AIを最大限に活用し、データエンジニアリングにおける新たな開発標準を確立することで、
チーム全体の生産性を劇的に向上させる。

KR1.1: 複数のAI/ツールを組み合わせて業務を遂行し、工数効率を20%以上改善し、社内共有4件以上
KR1.2: 生成AIを活用した新たな効率化の仕組みを開発・検証し、社内プレゼンテーションを2回以上
KR1.3: コーディング規約や設計レビュー観点を整備し、チームメンバー3名以上が利用可能な状態にする

グレード目標例(AIリテラシー)

目標: AI活用を日常の業務で徹底的に実践し、複数のAI/ツールを組み合わせた生産性向上手法を
確立・社内共有することで、G4に求められるAIリテラシーを発揮する。

導入スケジュール(1ヶ月半で完結)

期間作業
2025/06/09 週タスクばらし
2025/06/16 週マネージャーへ目標設定の課題をヒアリング・過去記録から課題掘り起こし
2025/06/23 週プロセス整理・要件定義・アーキテクチャ設計
2025/06/30 週評価関連資料のPDFエクスポート・全社方針・部門方針の資料整理
2025/07/07 週目標設定 Gem 開発・テスト / 目標設定 LM 開発・テスト / 全体テスト
2025/07/14 週リファレンス作成・5部門で検証・フィードバック収集・修正・残12部門展開
2025/07/22 週トップマネージャーへデモ・全社提供周知

田部井 1人・1ヶ月半・他業務並行で導入完了。

短期導入の前提条件

短期導入が実現した理由として以下を挙げる:

  1. 本人が1人3役: 評価制度の業務ドメイン専門家 × 業務改善経験者 × AIリテラシー保有
  2. ノーコード実現: Gemini と NotebookLM の基本機能の範囲内で実現。独自 RAG 環境構築不要
  3. NotebookLM の存在が鍵: NotebookLM がなければ同等のことをするには独自 RAG(検索拡張生成) 環境の構築が必要で、1ヶ月半での導入は不可能だった

AIに適した業務の3要素

  1. 業務ドメインの専門知識
  2. 業務改善の経験・センス
  3. AIリテラシー(ツールの特性把握と組み合わせ力)

この3要素が揃って初めて「短期・ノーコード」での AI 業務改善が成立する。

社内評価(Slackの声)

  • 「めちゃくちゃ便利だった。体感5倍ぐらいで下書きが作れた」
  • 「考える時間が98%削減できました」
  • 「GoogleのAIサービスだけでノーコードで作ってるってとこがすごい」
  • 「出力を少しだけアレンジしたら目標設定が完成した。いつもめっちゃ悩むのでこれはありがたい」
  • 「控えめに言って最高です」

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