【イベントレポート】Gemini と NotebookLM を組み合わせて目標設定の負荷を軽減する方法(DevelopersIO)

田部井勝彦(てぃーびー / クラスメソッド 組織開発室)が 2025-10-22 の Google Cloud ウェビナー「AIエージェントってなに?を解決する、やさしいビジネス活用と業務効率化事例」での登壇について、登壇後に発表しきれなかった補足情報を加えてまとめた DevelopersIO 記事(2025-10-28 公開)。

スライド単体のソース: Gemini と NotebookLM を組み合わせて目標設定の負荷を軽減する方法(SpeakerDeck, 2025-10-21)

登壇で伝えた要点まとめ

AI活用で業務改善のフロンティアを狙う

自動化できる定型業務と手動対応が必要な非定型業務の間に「AIで改善できる非定型業務」という第三の領域が存在する。この領域が新たな業務改善ターゲット。

AIを活用した業務改善に必要な3要素(AI業務改善の3要素

  1. AIリテラシー
  2. 業務ドメインの専門知識
  3. 業務改善の知識・経験

AIリテラシーだけでは成立しない。3要素を1人またはチームで揃える必要がある。

目標設定支援ツールの利用プロセス

準備フェーズ

  • 人事が全社の前提情報・人事評価制度情報を NotebookLM に設定
  • 各部のマネージャーが部門の前提情報を NotebookLM に設定

10ステップの利用フロー

  1. Gemini の Gem で本人の目標の前提を整理する
  2. 本人の目標の前提が作成される
  3. 本人の目標の前提を NotebookLM に入力する
  4. NotebookLM で目標の素案が生成される
  5. 本人が目標の素案を確認する
  6. 本人が目標の素案を参考に目標を調整する(方向が合えば微調整、合わなければ作成方法の参考として別途作成)
  7. NotebookLM に目標のレビューを依頼する
  8. NotebookLM で目標のレビュー結果が出力される
  9. 本人がレビュー結果を確認する
  10. 本人がレビュー結果に応じて目標を修正する

目標設定 Gem のポイント

  • ステップバイステップの質問フローを Gem に設定(利用者は問いに回答するだけ)
  • 次のキャリアステップの内容を入力値に応じて動的に出力
  • Gem を社員全体の Google Group に共有(社員増減に対してメンテナンス不要)

目標設定 LM のポイント

  • ソースファイルに制御用プロンプトを設定(公式利用法外だが実用上のプラクティス)
  • Google ドキュメントの同期機能で更新内容を手軽に反映

補足情報(登壇で説明しきれなかった内容)

目標のレビュー機能

OKR と個人の成長目標を別々にレビューする機能が実装されている。

OKR のレビュー観点

  • OKR の一般的なルールに沿っているか
  • 上位目標とのつながりがあるか
  • KR に定量的な表現が含まれているか

成長目標のレビュー観点

  • 所属部門やチームの方針・目標・課題と整合性がとれているか
  • 現在のグレードを踏まえてほどよい難易度になっているか
  • 単なる成長目標ではなく、事業への貢献に紐づいているか
  • SMART の法則に沿っているか

OKRと成長目標で別々のレビュー機能

目標の種類が異なるため、評価軸も分けて設計。OKR は「定量性と上位目標との整合」、成長目標は「事業貢献・グレード難易度・SMART」が主軸。

ストック情報の恩恵

1ヶ月半という短期導入が実現した背景に、必要な前提情報がすでに社内に蓄積されていたことがある。

  • 全社に関わる情報(方針・目標・課題)
  • 評価制度に関わる情報(制度ルール・全社の評価基準)
  • 事業部・部門・チームに関わる情報(方針・目標・課題)
  • 部門・職種別の評価基準

部門関連情報については、社内公開済み情報(MVVB 形式での方針まとめ等)が多く、田部井が半分を事前収集・記入して残りの部門固有情報の記入をマネージャーに依頼したことで、各部のマネージャーの対応負荷を大幅に削減できた。

人事評価制度のリファレンスは、田部井が制度改定時に整備し、その後は組織開発室メンバーが継続的にブラッシュアップしていたため、今回のために追加情報を用意する必要がなかった。

3層構造の評価基準の恩恵

評価制度3層構造(クラスメソッド)(第1層:全社共通 / 第2層:職種グループ / 第3層:個別職種・部門)があることで、第3層が各部における個別職種の前提に沿った具体的な評価基準を提供し、AI がより精度の高い目標素案を検討できる。

参考: 3層の評価基準 / 2024年7月版 クラスメソッド 人事評価制度

伴走支援の恩恵

タイミング的に約1年間人事として伴走支援していた事業部があり、田部井が部内の前提状況を事前に把握していた。その部門に検証協力をもらうことで検証のオーバーヘッドを最小化できた。

本人の意向の反映

目標は本人の意志・意欲と噛み合った時に最大の効果を発揮する。そのためこのツールは「目標の完成版を提供するもの」ではなく「目標の参考になる素案を作成するもの」という位置づけ。

  • AIの非決定性(同じ入力でも同じ出力にならない特性)を活用し、実行するたびに微妙に異なる素案を得られる
  • Gemini の Gem で本人がコミットしたい領域・次のキャリアを確認することで、本人の意向を加味した素案が生成される可能性を高めている

関連ブログ記事(Gem テクニック)

田部井が本ツール作成で活用したプロンプト技術の解説記事:

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