小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード
ジェイソン フリード・デイヴィッド ハイネマイヤー ハンソン(37signals / Basecamp 共同創業者)による働き方・プロダクト開発の実践書。Kindle ASIN: B01NCJVL06。60ハイライト取得。原題 “Rework”(2010年)の邦訳。
核心メッセージ:予測より実行、長期計画より今週
予想をたよりにしてはいけない。今年ではなく、今週することを決めよう。次にやるべき最重要課題を見つけだして、取り組むのだ。何かをするずっと前ではなく、直前に決定を下そう。
長期ロードマップ・出口戦略より、今週できることを積み上げることを重視。「関わっていくための戦略(エンゲージメント戦略)」こそが必要であり、出口戦略に注力する起業家は成功できないと断言する。
身軽さを保つ:スモールチームの強み
スモールチームの身軽さ(Rework)を失う要因として著者は挙げる:
- 契約
- 過剰人員
- 固定した決定
- 会議
- 鈍重なプロセス
- 在庫(物理的・精神的)
- 変更できないハードウェア・ソフトウェア・技術
- 長期ロードマップ
これらを最小化することで、小さなチームは大きな組織より速く動ける。
プロダクト開発:Half Product(半分の製品)
やりたいことを半分にするのだ。中途半端な完成品より、機能を半分に絞っても中身の良い製品のほうがいいに決まっている。量より質だ。
芯の見つけ方:「もしこれを手放しても、自分が売るものはまだ残っているか?」
変わらないものに投資する:
人々が今日欲しいと思う、そして一〇年後も欲しいと思うもの。そうしたものにこそ力を投入すべきだ。 変わらない機能に焦点を当てれば、時代遅れなんて言葉はまったく関係がなくなる
意思決定の7つの問い
何かに取り組む前に自問すべき問い:
- なぜ行うのか? — 理由が曖昧なら立ち止まれ
- どういった問題を解決するのか? — 顧客が混乱しているのか、自分が混乱しているのか
- これは本当に役に立つのか? — 役立つものを作っているか、ただ何かを作っているだけか
- 何か価値を加えているか? — 何かを加えるのは簡単だが、価値を加えるのは難しい
- それは行動を変えるのか? — 使い勝手がそんなに変わらないならやめたほうがいい
- もっと簡単な方法はないのか? — 「もっと簡単な方法」は「そこそこ良いもの」以上であることも多い
- かわりに何をすることができるのか? — リソースが限られている小さなチームで特に重要
生産性:「ひとりきりモード」
もしあなたがいつも残業し、週末も働いているとしたら、それはやるべき仕事が多すぎるからではない。それは仕事を「完了」させていないからだ。そしてそうなるのは、仕事に邪魔が入るからだ。
**ひとりきりモード(Rework)**の実践:
- 長い一続きの集中時間が最も生産性が高い
- 「コミュニケーション依存症」から脱却する
- コラボレーションは電話・会議より**受動的ツール(メール等)**を使う
生産的な会議のルール(どうしても集まる場合)
- タイマーをセットし、鳴ったら終了
- 可能な限り少人数のみ招集
- 常に明確な議題を設定
- 具体的な問題から始める
- 会議室より問題が起きている場所で会う
- 解決策を出して終了し、誰かに実行責任を負わせる
解決策はそこそこのもので構わない
問題は通常、単純で平凡な策によって解決することができる。そこに華やかな活躍の場などない。見事な技術を披露する必要もない。ただその課題をとっとと片付けて、次につなぐ何かをつくるだけである。
「そこそこのもの」を素早く出し、後から改善できると覚えておくことが重要。二週間で何ができるかを考え、すぐ実行する。顧客への届けが速ければ速いほど、フィードバックも早く得られる。
睡眠・健康の重要性
睡眠不足が引き起こす4つの問題:
- 頑迷になる — 間違った方針にはまりやすくなり、代替案を再検討できない
- 創造性の枯渇 — 「10倍効率的な人」は10倍働いているのでなく、10分の1の労力で済む解決策を思いつく創造性がある
- 士気の低下 — 疲れていると脳は取るに足らないことしか扱わなくなる
- 短気になる — 忍耐強さや寛容性が失われる
タスク管理:小さく分解する
解決策は大きなものを小さなものに分解することだ。より小さいほど見積もりをするのが簡単になる。
- 小さなプロジェクトが数週間超過するほうが、1つの長期プロジェクトが数カ月超過するより良い
- To Doリストは短く保つ
- 優先順位は**数字・ラベルでなく位置(視覚的)**で付ける——最重要を一番上に
小さな決断を積み上げる
大きなことを達成する最善の道は、一度に一つの小さな決断をすることだ。大きくて遠いゴールと壮大な実行計画の問題は、モチベーションを殺してしまうということだ。
達成可能なゴールを積み上げ、「やり遂げた。完了!」と言える体験を繰り返すことが最善の方法。
差別化:コピーしない、自分を注ぎ込む
あなた自身を商品、そして商品のまわりにあるものすべてに注ぎ込もう。どのように販売するのか、どのようにサポートするのか、どのように説明するのか、そしてどのように提供するのか。競合相手は製品の中にあるあなたまでをコピーすることは決してできない。
- 競合は製品をコピーできるが、「あなた」はコピーできない
- アンチ(競合の逆)であることは差別化の有効な方法
- 競合相手への注意は大して価値がない——自分のプロダクトに集中せよ
顧客への「ノー」
基本的に「ノー」と言おう 顧客の言うことを聞いていたら、もっと速く走る馬を彼らに与えていただろう。— ヘンリー・フォード
自分の最高のアイディアに対してさえも「ノー」と言う習慣を持つ。機能追加より絞り込みが重要。
知識を公開する:シェフの料理本
著名な料理人を見習おう。彼らは料理し、料理本を書く。あなたは? あなたの「レシピ」、あなたの「料理本」とは? 教える価値があり、プロモーションにもなるネタとは何だろうか?
プロセス・ノウハウを外部に公開することがブランディングとなる。このアプローチはコンテンツマーケティングの本質。
関連概念・リンク
- スモールチームの身軽さ(Rework)
- ひとりきりモード(Rework)
- Half Product(Rework)
- 意思決定の7つの問い(Rework)
- ジェイソン フリード
- デイヴィッド ハイネマイヤー ハンソン
- 37signals
外部参照
- 原著: “Rework” (2010) — Jason Fried & David Heinemeier Hansson
- Amazon: https://www.amazon.com/dp/B01NCJVL06