雇用保険実務
雇用保険は、労働者が失業・休業した際の生活安定と就職促進を目的とする保険制度。事業主は被保険者の資格得喪届の提出と、毎月の保険料納付義務を負う。
被保険者の種類
| 種別 | 対象 | 特徴 |
|---|
| 一般被保険者 | 通常の労働者 | 最も一般的な区分 |
| 高年齢被保険者 | 65歳以上の労働者 | 2017年〜全員加入義務化 |
| 短期雇用特例被保険者 | 季節的雇用(4か月以内・週30時間以上) | 特例一時金 |
| 日雇労働被保険者 | 日雇・週30時間未満の短期雇用 | 特例的適用 |
被保険者資格の要件(一般)
- 週所定労働時間20時間以上かつ
- 31日以上の雇用見込みがある場合
パート・アルバイトもこの要件を満たせば加入義務がある。
主要手続き一覧
| 手続き | 期限 | 届出先 | 様式 |
|---|
| 被保険者資格取得届 | 雇入れ翌月10日まで | ハローワーク | 雇用保険被保険者資格取得届 |
| 被保険者資格喪失届 | 退職翌日から10日以内 | ハローワーク | 雇用保険被保険者資格喪失届 |
| 離職証明書 | 資格喪失届と同時 | ハローワーク | 雇用保険被保険者離職証明書 |
| 被保険者転勤届 | 転勤後10日以内 | ハローワーク(転勤先管轄) | 被保険者転勤届 |
| 育児休業給付受給資格確認・初回申請 | 育休開始前後 | ハローワーク | 育児休業給付受給資格確認票・初回申請書 |
| 育児休業給付支給申請(2回目〜) | 支給単位期間ごと(2か月ごと) | ハローワーク | 育児休業給付金支給申請書 |
| 介護休業給付支給申請 | 介護休業終了後1か月以内 | ハローワーク | 介護休業給付金支給申請書 |
離職票の作成フロー
① 退職(資格喪失届と同時)
↓
② 離職証明書(3枚複写)を作成
・離職理由の記入(会社都合・自己都合等)
・賃金台帳・出勤簿で直近6か月分の賃金を記載
↓
③ 本人に離職証明書の内容を確認させ、署名・押印(or 確認のサイン)
↓
④ ハローワークへ資格喪失届と離職証明書を提出
↓
⑤ ハローワークが処理し「離職票-1・-2」を交付
↓
⑥ 離職票を元従業員へ郵送(退職後10日以内が目安)
離職理由の区分(基本手当への影響)
| 区分 | 主な例 | 給付制限 | 所定給付日数 |
|---|
| 会社都合退職(特定受給資格者) | 解雇・整理解雇・倒産 | なし(即受給) | 長め(90〜330日) |
| 正当な理由のある自己都合 | ハラスメント・転居・育児・介護 | なし(即受給) | 中程度 |
| 自己都合退職(一般) | 転職・一身上の都合 | 2か月(2025年〜。旧:3か月) | 90〜150日 |
各種給付一覧
求職者給付(失業給付)
| 給付名 | 支給額 | 給付日数 |
|---|
| 基本手当 | 離職前6か月の賃金日額 × 給付率(45〜80%) | 所定給付日数(90〜330日) |
就職促進給付
| 給付名 | 内容 |
|---|
| 就業促進手当(再就職手当) | 所定給付日数1/3以上残して就職した場合、残日数の60 or 70% |
| 就業手当 | 派遣・契約等で就業した場合の基本手当相当額の30% |
| 移転費 | ハローワーク紹介で転居を伴う就職時の移転費用 |
雇用継続給付
| 給付名 | 内容 | 支給額 |
|---|
| 育児休業給付金 | 育休中の賃金補填(最長子が2歳まで) | 休業前賃金の67%(180日まで)→ 50% |
| 介護休業給付金 | 介護休業中の賃金補填(93日が限度) | 休業前賃金の67% |
| 高年齢雇用継続基本給付金 | 60歳以降の賃金低下を補填(75歳まで廃止予定) | 賃金低下率に応じて最大15%(2025年〜最大10%) |
育児休業給付の出生時育児休業(産後パパ育休)
- 対象期間:子の出生後8週間以内に最大28日
- 支給額:休業前賃金の67%(2025年度〜段階的引上げ検討中)
- 手続き:通常の育休給付とは別申請(同時申請可)
教育訓練給付
| 種類 | 内容 |
|---|
| 一般教育訓練給付 | 受講費用の20%(上限10万円) |
| 特定一般教育訓練給付 | 40%(上限20万円)、資格取得系講座 |
| 専門実践教育訓練給付 | 50〜70%(上限最大168万円)、大学院・専門学校等 |
雇用保険料率(2025年度)
| 区分 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|
| 一般の事業 | 6/1000 | 9.5/1000 | 15.5/1000 |
| 農林水産・清酒製造業 | 7/1000 | 10.5/1000 | 17.5/1000 |
| 建設業 | 7/1000 | 11.5/1000 | 18.5/1000 |
※ 毎年4月に改定される可能性がある。
よくある実務ポイント
- 資格取得届の提出遡及(遅延)は本人の給付日数に影響することがある
- 離職証明書の「離職理由」は、実際の退職経緯を正確に記載する。虚偽記載は不正受給の幇助になる
- 育児休業給付は事業主が代理申請する(被保険者本人名義だが、事業主経由で手続き)
- 高年齢者(65歳以上)の資格取得届もハローワークへ提出が必要(2017年〜)
- 転籍・出向時は被保険者番号の取り扱いに注意(転籍は資格喪失・取得が必要)
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