KPI マネジメント
KGI・CSF・KPI の三者を関係者全員で共有・実行・改善し続けるマネジメント手法(中尾隆一郎 定義)。
「KPI を設定する」だけでなく、ビジネス構造を数式でモデル化し、最重要プロセス(CSF)を特定して数値目標(KPI)に落とし込み、全員が自律的に動く組織をつくるプロセス全体を指す。
三者の定義
| 指標 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| KGI | Key Goal Indicator | 最終的な目標数値(期末に達成したい最重要数値) |
| CSF | Critical Success Factor | 最重要プロセス(現場がコントロールできる変数) |
| KPI | Key Performance Indicator | CSF の数値目標(KGI の先行指標) |
関係性の図式
KGI(最終目標)
↑ 達成される
CSF(最重要プロセス)を実行すると
↑ 測定する
KPI(プロセスの数値目標)
逆に表現すると:「期末時点で KPI を達成していれば、結果として KGI は達成できている」。
8ステップの設計プロセス
- KGI の確認(組織の目的地の明確化)
- 現状との KGI ギャップ確認
- ビジネスモデルの数式化(例: 売上 = アプローチ数 × CVR × 単価)
- 定数と変数の分離(コントロール不能な定数を CSF 候補から除外)
- 変数の中から CSF を1つ選択
- KPI 数値の設定
- KPI 悪化時の対策を事前設計(いつ・程度・施策・決裁者)
- 全員への共有・実行・改善サイクル
CSF 選定の原則
- 現場がコントロールできることが必須要件
- 最も重要なプロセスを1つに絞る(複数設定は「最重要」の概念と矛盾する)
- 分母が変数になる指標(「率」)より分子が直接変数になる指標(「数」)を優先
- 例: 「提案率」より「提案数」を CSF にする
KPI 悪化時の事前設計(ステップ7の詳細)
KPI マネジメントの実務上の肝。施策が始まる前に以下4点を確定する:
- いつ(時期)
- KPI がどれくらい悪くなったら(程度)
- どうするのか(施策)
- 最終判断者(決裁者)
同様に、施策の承認と同時に振り返り(いつ・誰が・何を・どうやって)も確定する。
全社展開の理想形
全従業員がKPIに興味を持って、それが悪化した場合に、各現場で打ち手を打ち始めている。
理想到達のステップ:
- まず KGI 数値を全従業員が意識する
- 担当サービスの CSF を全員が把握する
- KPI 変化を見た現場が自律的に対策を立てる
具体的なビジネス数式の例
営業
売上 = アプローチ数(量)× CVR(歩留まり率)× 単価
変数の候補: アプローチ数・CVR・単価(値引き幅)→ 定数と変数を分離して CSF を1つ選ぶ
採用
採用数 = 応募数 × 1次面接通過率 × 2次面接通過率 × 最終面接通過率
採用の最重要 CSF: 採用選考スピード(内定承諾率に最も影響する要因)
TTP・TTPS との接続
KPI マネジメント文脈では、現場担当者がハイパフォーマーの行動(=高い KPI を実現するプロセス)を TTP(徹底的にパクる)→ TTPS(徹底的にパクって進化させる) することで組織全体の CSF 実行レベルが底上げされる。
OKR との違い
| KPI マネジメント | OKR | |
|---|---|---|
| 目標の性質 | 現実的・達成可能 | ストレッチ(60〜70%達成が理想) |
| プロセス重視 | CSF(プロセス)を中心に設計 | 結果(Key Results)を中心に設計 |
| 先行指標 | KPI が KGI の先行指標として機能 | KR は成果指標(遅行指標になりやすい) |
| 全員参加 | 全従業員が KPI を意識することが理想 | チーム・組織単位が多い |
KGI と OKR の Key Results の関係
KGI(Key Goal Indicator)は OKR の Key Results に相当する概念として捉えられることが多い。KPI マネジメントでは KGI(Goal)と KPI(Performance)を明確に区別する点が特徴的。
関連
- KGI(Key Goal Indicator)
- CSF(Critical Success Factor)
- TTP・TTPS
- OKR(目標管理)
- 中尾隆一郎
- 最高の結果を出すKPIマネジメント
- 人材配置最適化 — KPI 設置による異動効果測定と連動
- 科学的人事 — データ基盤としての KPI 活用