ざっくり分かるファイナンス~経営センスを磨くための財務~
著者: 石野 雄一 出版社: 光文社新書 ASIN: B00GU4R7QA Kindleハイライト数: 17件
概要
企業経営に必要なファイナンス(財務)の基礎知識を「ざっくり」理解することを目指した入門書。会計とファイナンスの違いから始まり、バランスシート・損益計算書の関係、資本コスト(WACC・CAPM)、時間価値(現在価値・将来価値)、投資評価指標(NPV・IRR)を体系的に解説する。
主要ハイライト
会計とファイナンスの違い
- 会計は「利益」を扱い、ファイナンスは「キャッシュ」を扱う——これが最大の違い
- 企業会計は財務会計(外部報告用:株主・金融機関・税務署向け)と管理会計(経営者・経営管理者の意思決定用)の二種類に分かれる
バランスシートと損益計算書の関係
- バランスシート(BS)は決算日における資金の「調達と運用」を表す
- BSの変化の原因が損益計算書(PL)で表される利益・損失
- 収益 - 費用がプラスならBSの剰余金が増加、マイナスなら減少
期待収益率
- 期待収益率 = 各収益率 × 発生確率の合計
- 例:2%×60% + 6%×20% + 8%×20% = 4%
- 投資家の「このくらいリスクを取るからこれくらいリターンが欲しい」という期待を数値化したもの
株主資本コストとCAPM
- CAPM(資本資産価格モデル) が株主資本コスト算出に最も広く使われる理論
- 計算式: 株主資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケットリスク・プレミアム
- 著者実践値:リスクフリーレート 2%、マーケットリスク・プレミアム(日本)5%
- βはBloombergで企業コードを入力して確認可能
WACC(加重平均資本コスト)
- WACC(加重平均資本コスト)は企業の資金調達コスト——投資家からいくらで資金を調達しているかを表す数字
- 計算例:発行済株式20万株・株価2500円・借入150百万円(金利5%)・実効税率40%・株主要求収益率20% → WACC = 16.08%
- 投下資本に対するリターン(利回り)の指標として機能する
時間価値(現在価値・将来価値)
- 将来価値(FV: Future Value): 今のお金を複利で運用した場合の将来価値
- 現在価値(PV: Present Value): 将来のキャッシュフローを割引率で割り引いた現在の価値
- 割引率が高くなると現在価値は低くなり、割引率が低くなると現在価値は高くなる
NPVとIRRによる投資評価
- IRR(内部収益率) = あるプロジェクトのNPVが0になる割引率 = 価値と価格が均衡する割引率
- IRR法の意思決定プロセス:
- プロジェクトが生み出すキャッシュフローを予測
- IRRを計算
- IRR > WACC → 投資実行 / IRR < WACC → 投資見送り
- WACCより低い収益率のプロジェクトへの投資は「調達コストより低い利回りで運用する」ことになり非合理