CAPM(資本資産価格モデル)
概要
**CAPM(Capital Asset Pricing Model、発音:キャップエム)**は、株式投資のリスクとリターンの関係を定量的に示す理論モデル。株主資本コストの算出に最も広く使われる標準的な手法。
計算式
株主資本コスト = リスクフリーレート + β × マーケットリスク・プレミアム
各パラメータの説明
| パラメータ | 説明 | 石野雄一の実践値(日本) |
|---|---|---|
| リスクフリーレート | リスクゼロの投資の利回り(通常は国債利回り) | 2% |
| β(ベータ) | 株式市場全体の変動に対するその銘柄の連動度 | Bloomberg等で企業コードから取得 |
| マーケットリスク・プレミアム | 株式市場全体の超過リターン期待値 | 5%(日本の場合) |
βの意味
- β = 1.0: 市場全体と同じ値動き
- β > 1.0: 市場より大きく動く(高リスク・高リターン期待)
- β < 1.0: 市場より小さく動く(低リスク・低リターン期待)
- Bloombergが運営するウェブサイトで企業コードを入力すれば確認できる
計算例
日本市場でβ = 1.2の企業の株主資本コスト:
= 2% + 1.2 × 5%
= 2% + 6%
= 8%
期待収益率との関係
期待収益率は「予想収益率の期待値」——各収益率とその発生確率の積の合計。
例:収益率2%(確率60%)・6%(確率20%)・8%(確率20%)の場合:
期待収益率 = 2% × 60% + 6% × 20% + 8% × 20% = 4%
この期待収益率の考え方がCAPMの理論的基盤となっている。
実務上の位置づけ
CAPMは「株式市場が企業に対してどの程度の収益率を期待しているか」を把握するためのツールとして割り切って使う。厳密な理論値よりも「ざっくり株主の要求リターンを把握する」実用目的で有効。
算出した株主資本コストはWACC(加重平均資本コスト)の計算に組み込まれ、投資評価の基準レートとなる。
関連概念
- WACC(加重平均資本コスト) — CAPMで求めた株主資本コストを組み込む
- IRR(内部収益率) — WACCと比較して投資判断を行う
- 現在価値・将来価値(時間価値) — 割引率の考え方
- NPV(正味現在価値) — CAPMベースのWACCで割り引いて算出
関連ソース
- ざっくり分かるファイナンス~経営センスを磨くための財務~(石野 雄一)